弁護士伊藤祐貴@台東区・上野御徒町のブログ

第二東京弁護士会所属。労働問題(解雇無効、残業代請求、退職代行等)、離婚・不貞慰謝料請求、相続、遺産分割、景品表示法、民事、刑事、少年事件など。

最判令和元年9月6日(高齢者の医療の確保に関する法律による後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合は,当該給付により代位取得した不法行為に基づく損害賠償請求権に係る債務について,当該給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができる))

判示事項:高齢者の医療の確保に関する法律による後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合は,当該給付により代位取得した不法行為に基づく損害賠償請求権に係る債務について,当該給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができるとした事例。

 

不法行為に基づく損害賠償債務は,損害の発生と同時に,何らの催告を要することなく,遅滞に陥るものである(最高裁昭和34年(オ)第117号同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁参照)。そして,後期高齢者医療広域連合は,後期高齢者医療給付の給付事由が第三者の行為によって生じた場合において,後期高齢者医療給付を行ったときは,法58条により,その価額の限度において,被保険者が当該第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得し,当該損害賠償請求権は,後期高齢者医療給付の都度,当然に当該後期高齢者医療広域連合に移転するものである(最高裁平成6年(オ)第651号同10年9月10日第一小法廷判決・裁判集民事189号819頁参照)。もっとも,上記の場合において行われる後期高齢者医療給付は,被保険者が被る損害の元本を塡補する性格を有するものであり,損害の元本に対する遅延損害金を塡補するものではないと解されることからすると,当該後期高齢者医療広域連合は,当該後期高齢者医療給付の価額の限度において被保険者の第三者に対する損害金元本の支払請求権を代位取得するものであって,損害金元本に対する遅延損害金の支払請求権を代位取得するものではないというべきである(最高裁平成21年(受)第1461号,第1462号同24年2月20日第一小法廷判決・民集66巻2号742頁参照)。

 後期高齢者医療給付を行った後期高齢者医療広域連合は,その給付事由が第三者不法行為によって生じた場合,当該第三者に対し,当該後期高齢者医療給付により代位取得した当該不法行為に基づく損害賠償請求権に係る債務について,当該後期高齢者医療給付が行われた日の翌日からの遅延損害金の支払を求めることができるというべきである。」

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88903

 

不法行為時に遡って遅延損害金が発生するわけではないという価値判断は,高裁と最高裁で共通しているように思いますが,いずれの立場も理論的に説明できるのか,考えてみる必要がありそうです。