弁護士伊藤祐貴@台東区・上野御徒町のブログ

第二東京弁護士会所属。労働問題(解雇無効、残業代請求、退職代行等)、離婚・不貞慰謝料請求、相続、遺産分割、景品表示法、民事、刑事、少年事件など。

無罪:覚せい剤取締法違反事件(大阪地判令和元年9月25日裁判所HP)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88990

 

主文:

「被告人は無罪。」

 

公訴事実:

「被告人は,法定の除外事由がないのに,平成29年10月7日頃から同月17日までの間に,大阪府内又はその周辺において,フエニルメチルアミノプロパン又はその塩類若干量を自己の身体に摂取し,もって覚せい剤を使用した。」

 

判示:

・違法捜査

→違法捜査が行われた疑いが残る

 

「弁護人は,平成29年10月17日に行われた被告人方に対する捜索差押(以下「本件捜索」という。)において押収された覚せい剤在中のチャック付きポリ袋3袋(このうち,洗面所で発見された2袋を「本件パケ」という。)は,麻薬取締官が持ち込んだものであり,その持ち込みを直接の契機とする現行犯逮捕には重大な違法があって,現行犯逮捕後に採取された尿の鑑定書(以下「本件鑑定書」という。)もこれと密接に関連する証拠であるから,これらの証拠能力は認められるべきではないと主張した。 」

 

「当裁判所は,第4回公判期日において,弁護人が主張する違法捜査が行われた疑いが残る,その捜査の違法性は重大であり,本件鑑定書等はこれと密接に関連するものであって,これを証拠として許容することは将来における違法捜査抑止の見地から相当でないと認められるとして,本件鑑定書等の取調請求を却下する決定をし(以下「本件証拠決定」という。),本件証拠決定に対する検察官の異議申立ても棄却した。」

 

「本件において,弁護人が主張するような違法捜査があったことを疑わせる主たる根拠は,捜索開始後間もない時点で撮影された写真に本件パケがあったとされる場所に本件パケが写っていないことにある。」

 

・自白の補強証拠

→存在しない

 

「被告人は,被告人質問において,平成29年10月上旬に覚せい剤を注射して使用し,同月9日にその注射器を捨てた旨供述し,捜査段階(乙5)においても,本件で逮捕される1週間前に覚せい剤を注射して使用した旨供述する。
 本件捜索の際,被告人方から血液様の液体が付着した注射器が発見され(被告人の免許証等の上に置かれていた),その注射器の内側から覚せい剤が検出されたという自白以外の証拠もあるけれども,この証拠によっても,注射器が使用された時期は定かでなく,本件において,被告人が公訴事実の期間内に覚せい剤を自己使用したとする上記自白の真実性を保証するに足りる補強証拠は存在しない。」

 

→違法収集証拠排除がされたうえで,自白の補強証拠もないとされた珍しい裁判例