弁護士伊藤祐貴@台東区・上野御徒町のブログ

第二東京弁護士会所属。労働問題(解雇無効、残業代請求、退職代行等)、離婚・不貞慰謝料請求、相続、遺産分割、景品表示法、民事、刑事、少年事件など。

ポケモンGO過失運転致死事件(名古屋地裁岡崎支判令和2年3月23日)

https://kanz.jp/hanrei/detail/89469/

 

・過失運転致死被告事件

 

・主文:「被告人を禁錮1年4月に処する。」

 

・罪となるべき事実:

「被告人は,平成30年4月14日午前10時15分頃,普通乗用自動車を運転し,愛知県西尾市a町bc番地d先道路をe町方面からf町方面に向かい時速約40ないし50キロメートルで進行するに当たり,自動車の運転者としては,前方左右を注視し,進路の安全を確認して進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り,左手に持ったスマートフォンの画面に表示させたゲームに気を取られ,同スマートフォンの画面に脇見をし,前方左右を注視せず,進路の安全確認不十分のまま漫然前記速度で進行した過失により,折から進路前方に路外施設に向かい佇立していたA(当時85歳)に気付かないまま,自車左前部を同人に衝突させ,その衝撃により同人を自車ボンネット上に跳ね上げて自車のフロントガラスに同人の頭部を衝突させた上,同人を付近路上に転落させ,よって,同人に多発性外傷の傷害を負わせ,同日午前11時57分頃,同県安城市g町hi番地所在のB病院において,同人を前記外傷により死亡させたものである。 」

 

・量刑の理由:

「被告人は,買い物に向かうため自宅を自動車で出発した後,その移動途中でスマートフォンの「ポケモンGO」という名前のゲームアプリを起動させ,その状態のスマートフォンを左膝に乗せるなどした状態で運転を続行し,事故現場手前の直線道路においては,左膝に乗せていたスマートフォンを左手に持ち,左手の小指や薬指をハンドルにかけ,右手はハンドルをつかんだ状態でスマートフォンの画面や進路前方を交互に見ながら運転を続け,事故直前には視線を左手に持ったスマートフォンの画面に向けながら運転を続けた結果,被害者に衝突するまでその存在に全く気が付いていない。関係証拠によれば,本件では,被告人が,本件事故直前において,少なくとも,約108メートルの距離を,7秒余りにわたってスマートフォンの画面に気を取られながら運転していた事実が認められるところ,これらの点からしても被告人の過失の程度は非常に大きいといえる。被告人自身もゲームアプリを操作しながら運転することが事故につながる危険性があることは認識していたのであるから,被告人はかような危険な運転行為は厳に慎むべきであったといえる。そうすると,自動車の運転に全く必要のないスマホゲームをしながら運転行為を続けた被告人の運転行為は厳しい非難に値する。」

「以上によれば,本件は,たまたま一時的に脇見をしてしまった結果起きた単純な過失による事故とは一線を画する事案といえるのであって,被害者1名の過失運転致死の事案としては,非常に重いといわなければならない。」

 

ポケモンGOをやりながら運転して被害者を死亡させた行為について,被害者1名の過失運転致死の事案としては非常に重いと判断されました。